999
我が輩は肉球である。
名前はまだない....筈なのだが優しい顔をした男は我が輩をキューちゃんと呼び、
もうひとりキツネ目の男は顔に似合わない高い声で"三男坊"と呼ぶ。
New Balance/ML 999
何れかに統一して欲しいと思ってはいるが、どちらにしても我が輩の仕事は
肉球を持たない人間とかいう生き物の肉球代わりになってやる事なので
別段名前など必要ない。
それでもキツネ目の男が言う"三男坊"というのは気になったので奴の話を聞いてやると
どうやら我が輩には二人の兄がいたそうな。
長男は997と言い、それはそれは良い肉球と立派な毛並みを持っていたそうだ。
続いて次男が998で、我が輩が三男なのだとこの男は言う。
キツネ目が言うところの長男
次男
更に優しい顔の男は"末っ子なのにずいぶんと昭和顔だなぁ"と言う。
我が輩が『昭和顔とは失礼な!大竹と同じではないか!』と怒っていると
優しい男は『古臭いという意味ではなく、伝統を背負った気品のある良い顔だ。』と言い、
加えて『華奢に見えてその実骨太な体格がすこぶる良い。』と言う。
...悪い気はしないから許してやるとしよう。
唯一気になるのは肉球としての仕事を共にする袴であるが、
飼い主気取りのこの二人はそれも用意出来ると言う。
奴らの肉球になってやる事のも悪くない、と思う今日この頃である。